僕はみんなの人気者コントラバスです。クラシック音楽ではオーケストラをはじ
め、吹奏楽やマンドリン合奏など色々なアンサンブルに僕は参加しています。そし
て、ジャズ、ブルースそしてカントリーソング、ブルーグラス、フォークソングなど
など、僕は様々なジャンルの音楽にひっぱりだこです。
こんな人気者の僕ですが、二つの悩みがあります。
一つは体がとても大きく重いことです。身長は180センチ前後あり背の高い男性
並、体重は20〜30Kgもあり持ち運びが大変です。電車に乗るときに別料金を取られ
たり、タクシーに乗ろうとすると逃げられたり、いつも大変です。こんなに大きな僕
を運んで弾いてくれているベーシストにはいつも感謝しています。
次の悩みは僕の正しい名前を呼んでもらえないことです。ダブルベースはともかく
として、ベース、ウッドベース、バス、コンバス、弦バスと僕は色々な名前で呼ばれ
ています。僕にはちゃんと「コントラバス」という名前があるのですから、間違えな
いようにして下さいね。
また、僕はヴァイオリンの仲間のような顔をしていますが、実はヴァイオリン属の
楽器ではないそうです。今の「ヴィオラ=ダ=ガンバ」などと同じヴィオール(ヴィ
オラ)属の楽器だそうです。オーケストラの弦楽器は僕以外は弦と弦の音程差が5度
ですが、僕は4度の差ですし、弓の持ち方も違います。(弓の持ち方は一般的な持ち
方であるジャーマン式(ヴィオール属の持ち方)とヴァイオリンと同じように持つフ
レンチ式とがあります。)また、ヴァイオリン、ビオラ並びにチェロは「いかり肩」
のボディラインをしていますが、僕はやさしい「なで肩」をしています。いつも、低
い音を鳴らしているので厳つい奴だと思っているかも知れませんが、実は優しい性格
なのですよ。楽器が大きいこともあって鳴り始めもゆったりしているし・・・・・。
(198?年春作成 某団員アーカイブより)
上の原稿を書いてから、早30ん年、コントラバスを弾き出して40年以上が
過ぎたとは、時の流れの速さを感じずにはいられません。
<ベーシストの珍エピソード集>
・本番中、長いフォルティッシモで力が入り過ぎ、弓をへし折ってしまった情熱ベーシスト。
・ベートヴェンの5番で5弦ベースがないからと、4弦のEをCに下げて弾きこなしていた学生ベーシスト。
・楽器を自宅に持ち帰り、翌朝寝坊して学校に遅刻するからとコントラバスを抱えて自転車に乗っていた豪腕高校生。
・楽器の中に、変な棒が入っていると魂柱(駒の振動を裏板に伝える弦楽器の重要な部品)を抜き取った昆虫採集男。
・アルコールが入った方が指が回ると、コンサート前に一杯引っ掛ける本番での飲酒プレイの常習犯。
(この方たちは、オケアン京都のベーシストではありません。念のため。)
この先、もっとすごいベーシストに出会うかと思うと楽しみ??です。